リク小説★
バランスを崩した女が海に倒れ込んで
海の上に大きな影を作って…
キス。
していた。
…その影の中で、
海と……名前も知らない、女の人が。
「…………っ。」
言葉もでない。
足も動かない。
頭が働かない。
…ただ、この目に映っているものが
嘘であればいいと思った。
「あっ…ごめっ…。」
恥ずかしがるように口元を押さえた女に
今更もう何も浮かぶ言葉がなかった。
肝心の海は、影に顔を落として表情さえ見えないし。
もう…なんか。
逃げ去りたくて仕方なくて。
とことん伝わらないあたしの気持ちが、酷く可哀相で。
もどかしくて
もどかしくて
それをいつまでたっても
上手く言葉に出来ない自分が
ムカつく。
「…もういいよっ…!!海のバカ!!」
積もりに積もった苛立ちを海にぶつけて。
「大っ嫌い!!!!」
そんな言葉を残して
あたしは走った。