Diamond devil


「…ねぇ、サク。極道ってそんなに悪いもの?」



囁くような小さな声でハルが呟いた。



「そ、れは、まぁ。一般の人からしたら、ねぇ?」


「けど、俺にとっては、組員はみんな家族だ。サクはあいつらのことなんてどうでもいいって思ってんの?」


「そんなこと!」



あるわけがない。


菊ノ井も茂さんも他の組員たちも、みんな強面だし、性格も荒い奴らが多いけど、根は優しいんだってこと、私は知ってる。

ハルの父親で現組長のおじさんだって、ヤクザだけど組の恥になるようなことは決してしない。

だからこそ私はおじさんを尊敬してる。


私にとっても、みんなは家族だ。



「私だって、みんなのこと大事だよ。悪い人なんていないもん」


「でも一般の認識は違うんだろ?ノブだってそう言ってたし」


「…だって仕方ないじゃん。大多数からみれば、やっぱり極道は『悪』なんだから」


「…そう、だよな」


< 39 / 82 >

この作品をシェア

pagetop