Diamond devil
こういう時のハルには、何故かやけに迫力がある。
それを感じ取ったのか、ノブも動きを止めて静かに様子を伺い始めた。
「おいお前、人にぶつかっといてただですむと思ってんのか!?」
「だから、謝ったじゃないですか…」
「謝ってすむならなぁ、警察なんていらねぇんだよ」
ありがちな台詞を吐いて、チンピラが学生に詰め寄る。
それにしても、今時恐ろしいくらい時代錯誤なチンピラだな。
スタジャンにサングラスなんてベタな格好、ハルんとこの組員だってやらないよ?
私がぼんやりそんなことを考えていると、耳を疑うような台詞が聞こえた。
「この餓鬼。調子こいてんじゃねぇぞ。俺たちを誰だと思ってんだ?神竜組の傘下の者だぞ!?」
…。
は?
ちょっと、何言ってんのあいつら!?
思わず叫び出しそうになる声を飲み込んで、ハルを見た。
ハルは眉間に皺を寄せて、小さく首を傾げている。