Diamond devil

黙って2人を見送るハルの隣に並んだ。


「何であんな嘘つくの？」


私が問うと、ハルは自嘲気味に笑った。



「今さら嘘も本当もないでしょ。黙ってたのは事実なんだから」


「だからって、あんな突き放した言い方して」


「あれで良かったんだよ。警察官目指してる人間が、ヤクザと付き合うわけにいかないだろ」


「だけど…！」


「だからもういいって」



うんざりしたように、ハルが大きく息を吐いた。
それからちらりと私を見て、すぐに目線を反らす。



「…サクもさぁ、もういいや」


「…は？」



意味が飲み込めず、私は聞き返した。


何がもういい？


何でそんな能面みたいな顔してるの？



「…もういいよ。婚約解消してあげる」


「突然何言ってんの？」



私は驚いてハルを見た。

今の話の流れで、どうしてそうなるのか、全く理解出来ない。



「元々さ、サクは乗り気じゃなかったじゃん？それに俺もサクのお節介はもううんざりなんだよね」


「…何、それ」


喉がカラカラに乾いて、上手く言葉が出て来ない。