Diamond devil


「…サクぅ」


その声に振り向けば、困ったようなオハナの顔。


「オハナ…」


「ハルの奴、私が話しかけても、全然答えないの…」


こんなにしょんぼりとしたオハナは久しぶりに見る。
余計に胸が詰まって、ため息混じりに尋ねた。



「昨日、あの後ノブは?」

「…うん。色々話しようと思ったんだけど、聞いてくれなくて…。今日も、もしかしたら休みかも…」



ノブの席を眺めながら、オハナは言った。

確かに、いつもならもう登校している時間なのに、ノブの席はまだ空いたまま。


「…私が悪いんだよね、全部」


「サクのせいじゃないよ!!」



オハナはそう言って慰めてくれるけど、やっぱり私のせいには変わりない。


「私ね、婚約解消宣言された」


「え?」


オハナがまじまじと私を見る。
信じられないという顔で。

「私がどうこう言う前にさ、ハルは私のことなんてどうも思ってなかったんだよ。笑えるよね、それなのに婚約者なんてヤダとか大騒ぎして」


< 58 / 82 >

この作品をシェア

pagetop