Diamond devil
「…サクぅ」
その声に振り向けば、困ったようなオハナの顔。
「オハナ…」
「ハルの奴、私が話しかけても、全然答えないの…」
こんなにしょんぼりとしたオハナは久しぶりに見る。
余計に胸が詰まって、ため息混じりに尋ねた。
「昨日、あの後ノブは?」
「…うん。色々話しようと思ったんだけど、聞いてくれなくて…。今日も、もしかしたら休みかも…」
ノブの席を眺めながら、オハナは言った。
確かに、いつもならもう登校している時間なのに、ノブの席はまだ空いたまま。
「…私が悪いんだよね、全部」
「サクのせいじゃないよ!!」
オハナはそう言って慰めてくれるけど、やっぱり私のせいには変わりない。
「私ね、婚約解消宣言された」
「え?」
オハナがまじまじと私を見る。
信じられないという顔で。
「私がどうこう言う前にさ、ハルは私のことなんてどうも思ってなかったんだよ。笑えるよね、それなのに婚約者なんてヤダとか大騒ぎして」