Diamond devil


「サク?」


「ハルの暇潰しに一喜一憂して、本当、馬鹿みたい」


そう言って笑うと、オハナは益々しょんぼりして自分の席に腰掛けた。




やっぱり、その日は1日ノブは休みで、ハルと私が口をきくこともなかった。


放課後、そのまま家に帰る気にもなれず、私は当てもないままぶらぶらと街を歩いた。


本屋さんにCDショップ。

適当に時間を潰して、いい加減家に戻ろうかと思ったその時、ふとある人影が目に入った。



「ノブ!」


私の呼び声に、ピタリと足を止める。


どうやら人違いではなかったらしい。


黒いスポーツブランドのジャージを着たノブが振り返った。



「…サクさん…」


「ノブ、話したいことがあるの。お願いだから逃げないでね。今、そっちに行くから!」


そう告げて、駆け出した瞬間、私とノブの回りを数人の男が取り囲んだ。


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