Diamond devil
Chapter,7
婚約者
笑顔でノブと別れて、私とハルは家までの道をのんびりと歩いた。
いつものように私の左隣でスタスタと歩くハル。
当たり前の風景が何だかとても嬉しくて、私はこっそり笑った。
「何?急に笑ったりして。気持ち悪いんだけど」
ハルはそう言って私の顔を覗き込むと、ピタリと動きを止めた。
「…何?」
今度は私がハルに尋ねる。
すると、ハルは私の頬にそっと手を置いた。
「ちょっ、何!?」
突然のことに驚いて、私は赤面しそうになる。
ハルにこういうことされるのは、何だか知らないけど、物凄く恥ずかしくて、物凄く心臓が痛い。
「…血、出てる」
あわてふためく私にハルが告げた。
「え!?」
ハルの手を退けて、自分で頬に触れると、ぬるりとした感覚が指に伝わる。
「あーあ」
手を見れば、赤い血がうっすらと付いていた。
大した傷ではないけれど、いつの間にか顔に傷が出来ていたらしい。
「痛くないの?」
ハルに問われ、首を振る。
「別に平気。かすり傷なんてしょっちゅうだし」