花の家
 朝霧の中に、麝香揚羽は立っていた。

日曜なのに、いつものどこの学校のものか知れない制服を着ている。

「あの……できれば、手を貸して欲しいんだけど」

「あれ、遊んでるんじゃないんだ。変わった遊びだなあ、とは思ってたんだ」

 揚羽は悪びれもせずに、にこにこと笑った。

助け起こしてもらって見ると、コートが泥だらけなっている。

香里は再び、落ち込む。


 香里が運動靴を履いている様子を、揚羽は何故だか嬉しそうに見ていた。

そう見つめられると、落ち着かない。

「ねぇ揚羽くん、日曜なのに、どうして制服なの?」

 気をそらせないものかと、他愛のない質問を口にしてみる。

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