花の家
「何、これ……」

 香里は、塚のなれの果てを見て、大きく息を吸い込んだ。

壊されたとは聞いていたが、こんな……。

 塚の一枚岩は、ばらばらに砕けている。

地面には、手のひら大の石が転がっているばかりだ。

 こんなこと、人間に出来るんだろうか。

 地震や雷でも、こうはなるまい。

「ねぇ、憎たらしい檻は壊れたんだよ、香里」

 塚の欠片を蹴り飛ばして、揚羽は笑う。



「僕は、約束を果たしに来たんだ」

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