花の家

やだ、

やだよ、鈴……。


「やだぁ……っ!」


 声が出た。

 体が自分のものに戻るのが分かる。

「やめてっ!鈴に酷いことしないで……!」

 裏返った香里の声に、ぴくっと揚羽の腕が強張る。

こちらに向けられた揚羽の顔は、何故か傷ついているように見えた。


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