花の家
「縛れ、縛れ……悪し蝶、花喰わぬよう、その腕、縛り給え」
朝蜘の口が、呪文じみた言葉を紡ぎ出す。
その度に、揚羽の腕が強く締めつけられる。
ぎりぎりと音がしそうなくらい張り詰める糸に揚羽は笑った。
「む・か・つく」
引っ張る糸の力に逆らって、揚羽は腕を動かそうとする。
「縛れ、」
ダメ押しのように繰り返された文句に、蝶の細い腕は、更に引き絞られる。
ついに服は裂け、皮膚に傷がついた。
だが、糸を伝って滴り落ちるのは、赤ではない。
透明な、
「あのアリと、同じ……?」
朝蜘の口が、呪文じみた言葉を紡ぎ出す。
その度に、揚羽の腕が強く締めつけられる。
ぎりぎりと音がしそうなくらい張り詰める糸に揚羽は笑った。
「む・か・つく」
引っ張る糸の力に逆らって、揚羽は腕を動かそうとする。
「縛れ、」
ダメ押しのように繰り返された文句に、蝶の細い腕は、更に引き絞られる。
ついに服は裂け、皮膚に傷がついた。
だが、糸を伝って滴り落ちるのは、赤ではない。
透明な、
「あのアリと、同じ……?」