花の家
 何でも。

智恵子は、その言葉に含みをもたせて言った。

智恵子は、わたしに何を求めているのだろうか。

香里は、急な不安に襲われる。

だが、何であろうと構うものか、と思い直した。

鈴は文字通り、命をかけて香里を守ろうとしてくれたのだ。

わたしの持ちえるものなら、全て差し出そうと香里は唇を引き結ぶ。

「何を、すればいいの?」

 少しかすれた声になった。

しかし、決意に揺らぎはなかった。

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