花の家
「手を、出して」
凛とした声に誘われ、香里は右手を差し出す。
智恵子は、ベルトに差してあった小刀を引き抜いた。
その小柄は、十年前に朝蜘へ差し出されたのと同じ物だったが、香里には知りようもない事実だ。
「少し痛いわよ」
智恵子の抜いた白刃が、香里の指の柔らかな腹を裂く。
薄い皮膚の下から、赤い玉が浮いて出る。
じん、と指先が痺れるような気がした。
「ちーちゃん、」
何をする気なの、と問うより早く、智恵子は血の滴る香里の指を引いた。
そして、それを鈴目の口にあてがう。
凛とした声に誘われ、香里は右手を差し出す。
智恵子は、ベルトに差してあった小刀を引き抜いた。
その小柄は、十年前に朝蜘へ差し出されたのと同じ物だったが、香里には知りようもない事実だ。
「少し痛いわよ」
智恵子の抜いた白刃が、香里の指の柔らかな腹を裂く。
薄い皮膚の下から、赤い玉が浮いて出る。
じん、と指先が痺れるような気がした。
「ちーちゃん、」
何をする気なの、と問うより早く、智恵子は血の滴る香里の指を引いた。
そして、それを鈴目の口にあてがう。