花の家
「揚羽くッ……お、落ち着いて!」

 風に舞い上がる花びらや砂から顔をかばうようにして、悲鳴に近い声を上げた。

まるで嵐のようだ。

轟々という音が、耳を突く。

と、砕けた石の一つが飛んで来た。

「きゃっ!」

 反射的に身を縮めると、ごすっ、と石が何かに当たって鈍い音を立てる。

「きゃー! 鈴、死なないでッ!」

 石の直撃を受けたのは、鈴目らしい。

どさりと、力なく香里の上に倒れ込んできた。

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