花の家
 どうせ、起きてても役に立たないんだから。

 そんな声が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。

ちーちゃんが、そんなこと言う筈ないもの。

眠りの温かい泥海に、香里の精神は沈んでいく。

意識の隅で、朝蜘の声が聞こえた気がした。


 結わえ、くくれ、縛れ、絡げよ

 縛れ、縛れ……悪し腕、縛り給え


 縛れ、


 絞れ、



 引き千切れ……ッ!


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