花の家
「姉さんは、心配しなくていいことだ」


 朝蜘が答えるのを遮るようにして、多郎が口を開いた。

香里は、その弟の言葉に少なからず、ショックを受ける。

多郎ちゃんも鈴も、先生もちーちゃんも知っていた。

私だけが、知らなかったのだ。

一人だけ、仲間外れだったのだと思い知らされる。


「何、それ……」

 知れず、声が震えた。

悲しみより、悔しさが湧いてくる。

< 170 / 274 >

この作品をシェア

pagetop