花の家
 
 授業は古文で、先生が和歌の訳を黒板に書いている。

 香里は身の入らない様子で頬杖をつき、それをノートに書き写した。

「ここはよくテストに出るから覚えておいて下さい」
 
 先生の字を目で追っていると、だんだん頭がぼうっとしてきた。

 おかしいな。国語は好きなのに……。

 そんなことを思っていたら、ぼうっとするどころか、黒板は靄がかかったように見えてくる。

 これは、最近の中でも酷い。

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