花の家
「もう……いいだろ、放してくれ」
鈴は、拗ねたように朝蜘の手を払った。
肩口まで擦り下がったシャツを掻き寄せる仕草は、どこか傷ついた風でもある。
無体をはたらいた朝蜘に、気にしたようなところはない。
「また、君を食べに来るぞ。あの蝶は」
そのまま、香里に視線を戻して言った言葉に、気が重くなった。
「蝶だけ、では済まないかもしれないんでしょう? 俺は、そこのところが聞きたいんですが」
黙って成り行きを見守っていた多郎が、急に口を開く。
え? どういうこと?
「てふ塚が壊れたということは、村の結界自体が弱まっているということ……」
鈴は、拗ねたように朝蜘の手を払った。
肩口まで擦り下がったシャツを掻き寄せる仕草は、どこか傷ついた風でもある。
無体をはたらいた朝蜘に、気にしたようなところはない。
「また、君を食べに来るぞ。あの蝶は」
そのまま、香里に視線を戻して言った言葉に、気が重くなった。
「蝶だけ、では済まないかもしれないんでしょう? 俺は、そこのところが聞きたいんですが」
黙って成り行きを見守っていた多郎が、急に口を開く。
え? どういうこと?
「てふ塚が壊れたということは、村の結界自体が弱まっているということ……」