花の家
「時期は早まるが、今日から君には、ここに住んでもらおう」


 そんな香里の不安を見透かしたように、朝蜘が言った。

「はい?」

 住む?

ここにって、朝蜘先生の家に?

時期が早まるって、わたし一生、先生の家に住む予定なんてないんですけど?!

 香里は朝蜘の言に、疑問符をばらまく。

「朝蜘さん、高校までは普通の生活させてやるって、約束だろ……」

 眉のあいだに、ぎゅっと皺を寄せて言い募る鈴にも、クエスチョンは増えるばかりだ。

普通の生活?

約束?

何の話?


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