花の家
「今更、普通の生活もないだろう。結局、花のむすめは、花のむすめとして生きていくほかない」

 花守りの家が、花のむすめを守らねばならぬように。

すべては、決まりごとの通りに行なわれねばならない。

「舘花、花の家のむすめは、三家の子息と婚姻を結ぶ決まりごとだ」

 今回は朝蜘の家との婚礼が、すでに定められている。

「はい?」

 つまり……

「君と私は、許嫁同士ということだ」

 は、はひ?

 いいなずけって、どこの少女漫画の話?


 目の前が暗くなるって、こういうことをいうんだなぁ……。

 香里の意識は、またそこで途絶えた。


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