花の家
「えっ夢? そ、そうだよねっわたしが先生と許嫁とか、現実な筈ないよね〜」

 我ながら、訳の分からない夢だ。
笑っちゃうくらい。

あれ、でも何処から夢だったんだろう……?


「君に嫌われていることは、よくよく分かった。だが、残念なことに現実だ」

 皮肉のまじった抑揚の少ない声に、体が強ばった。

恐る恐る、視線をちらりとだけ上げれば、銀縁のメガネが目に入る。

「元気そうで何よりだ。その様子なら学校も休まずに済みそうだな」

 早く制服に着替えて、顔を洗いなさい。

朝食の支度はできている。


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