花の家
 早く座らなくちゃと、内心、半泣きになっているのに金縛りにあったように足が動かない。

だから、人見知りなんです、わたし!

「何、つっ立ってるのよ。今、ご飯よそうから座った座った」

 マネキン人形のようになっている香里に、きびきびとした声がかかった。

「ちーちゃん……」

 親しい顔に、安心感がわく。

朝蜘先生の顔と正反対だ。

「あれ? そういえば、どうしているの?」

 ここ朝蜘先生の家だよね?

起きたときは現実逃避に忙しくて、気づかなかったけど。


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