花の家
 当たり前のような顔で朝食の用意をしている智恵子を、香里は不思議そうな目で見る。


「尾上は代々、朝蜘家にお仕えする血筋なのよ」

 じ、時代を間違えているとしか思えない……。

 何度言われても、香里には血筋だのお家だのなんてもの、ぴんとこない。

不自由じゃないんだろうか。

「え、じゃあ、ちーちゃんも朝蜘先生のおうちに住んでるの?」

「そうなるわね。新婚なのに、お邪魔かしら」

 意地悪そうに笑う智恵子の手を、香里は、がしりと掴んだ。

「ううん! 邪魔な筈ないよ! 一緒に、ご飯たべようね……!」

 気まずい食卓の助け舟、絶対に放すものか。


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