花の家



「それで三人で、ずっと黙って飯食ってたのかよ」

 うん、とふくれ面でうつむいている香里の隣を、鈴と多郎が歩いている。

朝蜘は職員会議がある、と先に出てしまったのでいなかった。

だったら、もう少し、寝かせておいてくれたら良かったのに。

時計を見たら、ふだん起きる時間よりも一時間ちかく早かったのだ。

これから毎朝、早起きしなきゃいけないのかなあ……。

わたし、家出するかも。

「鈴と多郎ちゃんが迎えに来てくれて安心したよぉ」

 鈴とはいつも一緒に学校へ行く訳じゃないので、気をつかってくれたのかな、と思う。

いつも通りの二人の顔を見て、やっと気を抜くことができた。


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