花の家
「お前がそう思うなら、そうなんじゃねーの?」
冷たい声色に、肩を押された力のまま、よろける。
すかさず、多郎が後ろから支えるが、香里はショックから立ち直れなかった。
「……鈴なんて、きらいっ!」
思わず、そう叫べば、鈴はますます眉をつり上げる。
その怖い顔も嫌で、きらい、きらい、と続けて言葉を投げつけた。
「……勝手にしろ!」
ついに鈴は香里に背を向けて、先に行ってしまう。
怒らせたかった訳じゃないのに。
ただ、そんなわけないだろって、笑い飛ばしてほしかっただけなのに。