花の家
それを表情も変えずによけるのが、朝蜘の感じの悪さである。

「何で、よけるんだよっ!」

「当たりたくないからな」

 そう口の端を上げてみせる顔を、こいつが真面目な教師だと信じているやつらに見せてやりたい。

的を失ったバッグは、ただ職員室に投げ込まれたようなかたちになった。

なぜか中には、朝蜘以外、誰の姿も見えない。

「他の先生は?」

「全校集会の準備だろう、私は体調がすぐれないので辞退させて頂いた」

 よく言う。

私、なんて人前じゃなきゃ使わない男が。

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