花の家

 香里は、男がドアから腕が抜けずに苦戦している間に、急いで図書室を出た。


ドアが両開きで助かった。

今のうちに、追いつかれないように距離を広げないと……。

そう思って、ちらっと後ろを振り返り、絶句する。


「逃がすか……ッ」


 ドアが!

 ドアが蝶番から引っこ抜かれている!

腕にドアをはめたまま、男が追いかけて来る!!


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