花の家
「どうしたのって……学校に遅れる」

「そうか。学校に行く途中だったんだ」

 紅葉に気を取られて忘れていた。

 しっかりしてくれよ、と多郎は自分の眉間に指を押し当てて言う。

 呆れる気持ちも分からなくはない。

 私の方がお姉さんなんだから、しっかりしなくちゃという思いはあるのだが。

 最近は、ぼんやりすることが多くていけない。

 理由は分からないけど、意識がすぐに何処かへ行ってしまう。

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