花の家
 鈴目が朝蜘に出会ったのは、七つのときだ。

 香里が近所の神社にお参りに行くと言うので、ついていったのである。

 化粧をして着物をきた香里は、如何にも大人っぽくて鈴目は心落ち着かずにいた。

『どうしたの、変な鈴』

 妙に緊張していた鈴に香里は、いつもの調子で笑う。

 香里は赤い方を、鈴は白い方の千歳飴を分け合って食べた。

 そうしている内に香里は慣れない着物で疲れたのだろう、寝入ってしまって、おばさんにおぶわれた。

 それをぼんやりと見ていると、父親に手を引かれる。

『鈴も来なさい』

『どこに?』
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