花の家

 学校に着くと、揚羽が熱烈に出迎えてくれた。

「香里! 会いたかったよ、来てくれるって信じてた!」

 まるで香里が学校に来たのは揚羽に会うためだと言わんばかりの台詞で、手を握る。

 それを見た多郎はあからさまに嫌そうな顔をしたが、結局は何も言わずに出ていく。早く教室に戻らなくては、遅刻してしまうからだ。

「おい、よせよ。香里は病み上がりなんだ。あんまり振り回すな」

 代わりに割って入ったのは鈴である。

「別に振り回してないよ。再会の喜びを分かち合ってただけさ。ねえ、香里?」

「再会って、昨日会ってただろうが! 昨日!」

「十分だよ。僕と香里は一分、一秒だって離れるべきじゃないんだから」

 余程、この二人は馬が合わないらしい。

 わたしがいなかった昨日も、こんな感じだったのかな、と思うと香里は呆れた。

 止めたって、耳に入らないんだろうしなぁ。

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