花の家
「いい加減にして! これ以上、喧嘩するなら絶交だからね!!」

 勢いに任せて発した直後、その台詞の幼稚さに気づく。

顔から火が出るって、こういうことを言うんだなあ、と身をもって知った。

場が静まっているのが逆に居たたまれなさを増加させる。

「絶交って、お前なあ……」

 最初に口を開いたのは鈴だ。

「それ以上言ったら、本気で殴りますから」

 小学生並の発言なのは、もう気づいているのだから、触れないでもらいたい。

香里の怒りの一言は、狙った効果を示さず、浮いている。

「えっやだやだ! 絶交なんて言わないでよ」

 いや、どうやら一人にだけ効果があったようだ。

ただ、問題を理解していないのか、揚羽は多郎の顔を押し退けて前に乗り出している。

無論、多郎は不愉快を絵に描いたような顔だ。


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