花の家
「何だよ、その目は。言っとくけど、今回のは完全に朝蜘の言い掛かりだかんな」
心外だ、と言って鈴は中身のなくなった紙パックを握り潰す。
「言い掛かりって?」
「テフヅカの話」
むすっとして言い捨てる鈴に反応したのは、麗しの転入生だった。
「ねぇ、香里。テフヅカって、何?」
わざわざ鈴ではなく、香里に訊いてくる辺りが彼らしい。
「テフヅカって言うのは、村外れにある石の塚のことです」
そして、訊かれてもいないのに答えてしまう多郎も、実に多郎らしい、と香里は思う。
「そうそう。石碑に《てふ塚》って書いてあってね。子どものときは、それが《チョウヅカ》って読むなんて分からなくて……」
「鈴さんが自信満々に《テフヅカ》って呼んでたんです」
心外だ、と言って鈴は中身のなくなった紙パックを握り潰す。
「言い掛かりって?」
「テフヅカの話」
むすっとして言い捨てる鈴に反応したのは、麗しの転入生だった。
「ねぇ、香里。テフヅカって、何?」
わざわざ鈴ではなく、香里に訊いてくる辺りが彼らしい。
「テフヅカって言うのは、村外れにある石の塚のことです」
そして、訊かれてもいないのに答えてしまう多郎も、実に多郎らしい、と香里は思う。
「そうそう。石碑に《てふ塚》って書いてあってね。子どものときは、それが《チョウヅカ》って読むなんて分からなくて……」
「鈴さんが自信満々に《テフヅカ》って呼んでたんです」