花の家
「あれ? そういえば、何で朝蜘先生が、そんなこと知ってるの?」

 小さいとき、何処でよく遊んでいたかなんて、普通は知らないだろう。

当然の疑問を口にした筈なのに、鈴と多郎から唖然とした顔で見られる。

「本気で言ってんのか、お前」

「……鈴さん、そういう言い方はないでしょう。昔の話だし、忘れるってことも」

 多郎のフォローが逆に痛い。

「え、な、何よお」

 私が何を忘れていると言うのかと、香里は鈴をおどおどと見た。

「昔、よく俺たち朝蜘先生に怒られてただろ? 勿論、あんときゃ先生じゃなかったけど」

 え、と香里は言葉を失う。

 よく怒られていた?
 学生服の?
 げんこつのお兄さん?


< 91 / 274 >

この作品をシェア

pagetop