花の家
 話を戻して、鈴は揚羽に視線を送る。

「なあ、何で《てふ塚》って言うんだと思う? 転入生君」

 何処か試しているような鈴の台詞に、揚羽は愛らしく小首をかしげて見せた。

さらりと癖のない髪が流れる。

「んー、すごい塚ってことなんじゃない?」


 超・塚。

 思わず、吹き出したのは智恵子だった。

「そ、それは、斬新な意見ね……」

 余程ツボにはまったらしい、口元を押さえて、体をくの字に折っている。

どんな答えを期待していたものか、鈴は舌打ちでもしそうな顔だ。
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