花の家
 揚羽くんて、天然さんだなあ、と一連のやり取りを眺めていると、箸が止まってると多郎に怒られる。
 過保護だ。

「鈴目って、揚羽君に勝てそうにないわね」

 目尻に浮かんだ涙を拭いながら智恵子が揶揄うと、鈴は、ふん、とそっぽを向いてしまう。

 揚羽の方は、そんな鈴など目に入っていない様子で、顔の前で、ぽんと両の掌を合わせた。

「僕、そんな凄い塚なら見てみたいな。見に行こうよ」

 白い面は、その良いアイディアにほんのりと上気している。

「ねぇ、香里。案内して? 放課後にさ、いいでしょう?」

 休日に父親を誘い出す子どものような調子で、揚羽は香里にねだる。

長い睫毛に縁取られた、お人形のような目で見上げられると、くらくらしてしまう。

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