花の家
揚羽の背景は、眩いばかりに輝いていた。

 う、私って美形に弱すぎる。

 その、ノーと言わせない笑顔に香里の気持ちは、既に負けている。

まあ、揚羽が美少年だというのを差し引いても、てふ塚に再会したい気持ちにはなっていた。

小さなときの遊び場だ。

懐かしき、楽しい日々。

よく、手を繋いで、塚石の周りを回る遊びをしていた。

お決まりの歌を口ずさみながら。

意味は分からないながら、口当たりの良い、わらべ歌だった。

……どんな歌詞だっただろう。

香里は頭の中で、単調な節回しを再生する。

……ハナスイチョウチョウ、アシチョウチョウ……

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