繋いだ手
颯は足が速くて
とてもあたしじゃ
追いつけない。


「ちょっと!!颯!!!」


あたし達の間に
少し距離ができた時、
あたしは名前を呼んだ。

すると、颯は振り返って
悪戯な笑顔で舌を出した。

からかってるな、
あの野郎…。


この距離なら、
頑張れば追いつける
かもしれない。


と、普通の人は
思うだろう。


だけどあたしは
もう追いつけないのが
分かっていた。


だてにいつもやってませんよ。


そしてそう感じると、
あたしはいつも
諦めたんだと悟られないように
このやりとりの
観覧者達のところへ戻り、
本来の目的である
昼食を食べはじめる。
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