歌って聞かせてよ。
窓の外を見るとちゃんと私がいた。

「私って、あんなのなんだ…。」


2メートルくらいの小さくて細い木。



そりゃそうだよね…。

ここに連れてこられたの、17年前なんだもん。


まだ生まれたばかりの小さい木だったなぁ。



「おい、お前今からどこいくんだよ。」


病室の外の廊下で光輝君が私を呼んだ。

「うー…ん、光輝君と一緒にいてもいい?」



…私は光輝君と話がしたくて人間になったんだから。
私が『木』なんていったら気味悪がられるかもしれないし…。




「ふ…ふーん。ま、いいけど。」


少し照れ臭そうに返事してくれた。

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