歌って聞かせてよ。
次の日から私は光輝君の病室に通いつめる事にした。

私は光輝君と話すためにここにいるんだよ…。




「光輝君!おーはよっ。」


「はよ。お前、いっつも早いよな。」


「へへっ。光輝君と話したくて、待ちきれないんだもん。」



本当の事をいうと、光輝君は顔を真っ赤に染めた。


「は…はぁ!?な、何言ってんだお前…。」


「だって本当の事だから。お話するの、楽しいの!」


私の夢だったから。



「そーかよ。ま、まずは朝飯食ってからな。」

照れた様子で言う光輝君。

「うん。」



その日もその次の日も光輝君と私はずっと一緒に話をした。


私が人間になって一週間が過ぎた頃…


「お前、歌好きか?」



いつものように中庭のベンチで2人ですわって話してた。




「うん!大好きっ!!!」

特に光輝君の歌が。


私は満面の笑みを光輝君に向けた。



それを見た光輝君は少し微笑むと



「♪〜♪〜」



歌い出した。

心なしかいつもより照れ臭そうに歌ってるみたい。

…私が人間としているからか。


私が人間になって歌を聞かせてくれたのはこれが初めてだった。



光輝君の歌をこんな近くで聞けてる…


光輝君の声だ。







私は嬉しさのあまり、泣いてしまった。


歌い終わった光輝君が私をみると、ギョッとした目を向ける。



「ちょ…なっ、何ないてんだよ!」

「だっ…。」



「だ?」

「大好き!私、光輝君の歌、大好きっ!!」



思わず光輝君に抱きついてしまった。

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