歌って聞かせてよ。
しばらくすると、光輝君だけが戻ってきた。


「あれ…?お母さんは?」



「仕事があるから今日は帰るってさ。母さん、桃の事、かなり気に入ってたよ。」




「そっかぁ…。」



光輝君のお母さん…大丈夫かな。


あの時…なんで









泣いてたの?





この日も光輝君の歌を聞かせてもらう。


私の大好きな声。


歌。




幸せに浸っていたその時だった。




「♪〜…ゴホッ、ゴホゴホ!!」




光輝君は突然咳き込み出した。




「!?こ…光輝君!!」



私は慌てて背中をかるくたたく。



すぐに咳き込みはおさまった。







…よかった。




「大丈夫…?」



「平気。寒いから風邪引いたのかもなー。」




私の顔を見て笑った光輝君。




その笑顔はどこか無理しているように見えた。


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