歌って聞かせてよ。
それから病室に戻った光輝君は一向に歌おうとしなかった。



「光輝君…。」


「何?」



やさしい笑顔で振り向いてくれる。


「私…光輝君の歌、大好きだよ。」




どうしても伝えたかった。

もう歌ってくれないような気がして…。




「な…なんだよ急に。てっ、照れるだろ!」



パッと片手で顔を隠す光輝君。



「…明日も……歌ってくれるよね?」



恐る恐る聞いた。



すると、何か考えるように一拍おいて


「たりめーだろ。」


って言ってくれた。


その日の夜。



私は自分の木の下で夜空を見上げていた。











私…光輝君と話したくて人間にしてもらったけど…




でも、それって結局は自分の事しか考えてなかったんだよね。



光輝君の病気をはやく治してあげたいよ。






私に出来ること…



なんかないかな…。
< 26 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop