歌って聞かせてよ。
光輝君は無言で私から視線を外し、ある一点を見た。



光輝君の視線の先を目で追う。




すると、




その先にあったのは…






















私?



光輝君が見ていたのは木だった。



「あの木…ちょうど俺の病室からすぐ見えるんだよ。」









うん。



…知ってるよ。








「俺が入院したての時、誰も知ってる奴いねーし、病気なんて滅多にならなかったから、入院なんて初めてで…正直、寂しかったんだよ。」








…覚えてるよ。


決して弱音は吐かなかったけど、寂しそうな顔してた。






< 31 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop