歌って聞かせてよ。
「ふぅ…上出来!」


歌い終わった光輝君は私を見てニカッと笑う。







「ありがとな。いつも、俺の歌、聞いてくれて。」



「私こそ…。」





「俺、この木とお前には数えきれないほどのもんもらったよ。」




「?」




「いっつも元気もらってた。」




光輝君…。






「もうそろそろ、話せなくなるからさ…。この木にもちゃんとお礼言いたくて。」





ああ…それでベンチに座らなかったんだね。



光輝君には歌っていてほしいの…。


笑っててほしいの。




私は光輝君のために生まれてきたような存在なんだから。







そんな元気だった頃を懐かしむように笑わないで。





大丈夫…



絶対治るから…







私の事、大切に想ってくれて…ありがとう。




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