歌って聞かせてよ。
「魂、もらいに来ました。」



どこからかスクラウトの声がする…




光輝君には聞こえないんだね…





よかった…。










「光輝君…私…幸せだったよ。」



「え…桃?」









「どんな形の私でも…大切に思ってくれてありがとう。」





「…もしかして……。」



私がこの木だったこと…



気づいたのかな。



「大丈夫。心配しなくても、光輝君の病気は治るから。」





「何言って……おい、桃っ!!」



私の体はだんだん透けていく。



「今日でお別れなんだ…。最後の最後に私の大好きな光輝君の歌、聞けて幸せだったよ。」



「いくなっ!桃!!」



私を引き寄せようとした光輝君の手は私の体をすり抜けた。









「ありがとう…。」








それから私は光輝君の姿が見えなくなった。














光輝君…。



大好きです。


本当に









本当に…









ありがとう。
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