歌って聞かせてよ。
次の日の朝。



「光輝君?こんな所で寝てたら…あら、この木花咲かせたのね…綺麗。」



1人の看護師が俺を起こしに来た。




重たい足取りで病室に向かう。



桃がいなくなったら…


頑張る意味ねーじゃんか。




病気には敵わねぇ。












朝から病室で独りぼっちになるのは久しぶりだ。




窓からは桃がしっかり見える。



「桃…なんでいなくなっちゃったんだよ…。お前がいなくなったら寂しいじゃん。」











それからぼーっとしたまま夕方になってしまった。


「光輝君、体調調べるから、じっとしててね。」




看護師が病室に入ってくる。




「はい…。」



「今日、なんか元気ないわね。」



俺は窓の外を見た。



「まぁ…色々あったんすよ。」





すると看護師は驚いて俺を見る。




「光輝君…咳は?今日まだ一回も咳き込んでないわよね?」




俺はその言葉にふと動きを止める。




「ちょっと、先生に見てもらった方がいいんじゃない?」





「先生んとこ行ってくる!」


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