歌って聞かせてよ。
でも次の日も私の姿は変わることがなく…



(当たり前だよね。叶うわけないもん。)


神様はどうして私を人間にしてくれなかったんだろう。




(あ!光輝君!今日も歌、歌ってよ。)



窓を開けて空を見つめる。
すると…



ふと私を見た。


「お前は…いいな。病気なんてしないだろーし。」

と、呟いた。




(光輝君、私だっていやな事もあるよ。声、持ってないもん。)



伝えたくても

伝えられない。




そんな悲しい気持ち。



「…もとの元気で何も知らなかった時に戻りてーよ。」

光輝君はかすれた声でそう言った。



(光輝君…。)

光輝君の病気は声が出なくなっていく病気なの。

歌が大好きでバンドもやっていた光輝君。





そうだ…。

私と一緒で光輝君も声がなくなっちゃうんだね。








私、光輝君の歌が聞けなくなっちゃうのは…嫌だよ。
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