きおく
次の日の朝俺は病院に居た。親友と同じ病院の違う科に。
 
「藤原さん、早く入院されることを医者としてお勧めします。今でも相当無理をなさってますよね」
「……兄貴、俺入院しないよ」
「兄として啓介に入院することを勧めてもか」
「最後まであいつの傍に居たいんだ」
 
医者である兄は弟の俺にもう長くは生きられないことを伝えた。
 
「彼の記憶が戻るか、何の保障もないのに、待ち続けるのか」
「俺はあいつの記憶から消えたままで良いんだ」
 
"ごめん"というと俺は診察室を出て啓介の病室に向かった。
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