大きな愛
それ以来お互い喋らなかった。あたしは賢治が話してくれるまで待った。





「美月...あのさ...俺...前に付き合ってた彼女がいてさ...美月とは違って健康なんだけど...弱音ばっかり吐く子だったんだよ...その子と会社一緒だからいつもここで一緒にいてた。その子が突然病気になった...びっくりしたよ...後から聞いたんだけど...実は生まれたときから病気だったらしい...初耳だったよ...その子とずっと病院でいてたんだけど...俺ちょっとどうしてもはずせない仕事あったからそれ行ってたら...電話がなってきて...その子が死んだ...って...」




「...。」


あたしは何も言えなかった。
だってあたしと一緒だから...。
ねぇ...もしかして...あたしと重ねてる??
なんて言えないよ...。こわくて言えないよ...。




ずっと黙ったままだった。
< 52 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop