空色パレット
「鈍いやつ」


そうつぶやいて、いきなりキスをしてきた。


「うっ…うぅっ」


離してよぉっ。
苦しいってば。


「嫉妬してほしいの?」


「んん!んーん!」


ありえないから。
ていうか、早く下に降りなきゃばれるって。


「…仕方ねぇな」


やっと離してくれた…と安心していると、笹河は扉を開けていた。


「ど、どこ行くんですか!」


「…挨拶」


ニッコリと笑って、1階へと向かう笹河。

ちょっ、ちょっとぉ…?


「えっ、あの…」


「大丈夫。ちゃんと挨拶してやるから」


そういう問題じゃないから。
行くなってことを言いたいの。


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