空色パレット
笑うあたしの頬をつねって、悪魔の微笑みをした笹河。


ちょっと、嬉しかったのかな。



「笹…」



「慶」



「は?」



「慶って呼んでみ?」



嫌です。

ていうか、無理です。



「呼べよ」



あのねぇ、突然過ぎるよ?
色々と突然過ぎて、あたし追いつかないよ。



「呼ばないなら、キスか…」



…地獄逝き。

じゃあ、呼んだほうがいいのかな。



「け………い」



「ちゃんと呼べ」



「慶っ」



叫んだと同時に、キスをされた。

口の中に侵入して、舌と舌で絡めたり。


歯をなぞってきたり。



すべて。

すべて、笹河に『初めて』を奪われた。



でも、最悪だなんて思ってないよ。



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